楽天市場へ出店する際にまず悩むのが「出店プランを比較してもどれが最適か分からない…」という点だと思います。特に出店料や販売手数料などの料金体系が複雑になっているので「売上に対する費用の総額が分からない」という人が多いようです。
そこで、今回は楽天市場の「出店費用」や「月額利用料金」などを中心に出店プランを比較してみました。
出店プランは3種類
楽天市場でネットショップを開業する方法として、選べるのが下記の3つの出店プランです。
- がんばれ!プラン
- スタンダードプラン
- メガショッププラン
これからこの3つの出店プランについて、それぞれの仕様や料金設定を順番に比較していきます。
登録可能商品数・画像容量
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
登録可能商品数 | 5,000 | 20,000 | 無制限 |
画像容量 | 500MB | 5GB | 無制限 |
まず費用とは関係ない部分ですが、それぞれのプランごとに「登録可能商品数」と「画像容量」が決まっています。
全プランの中で唯一「登録可能商品数」と「画像容量」が無制限になるのが「メガショッププラン」です。ひとつ下の「スタンダードプラン」では「登録可能商品数」が20,000商品までという上限があるので、20,000商品以上の大規模サイトを作りたいのであれば、必然的に「メガショッププラン」を選択する必要があります。
なお、無制限と言っても初期値は50,000商品・5GBという設定になっているようで、上限を上げたい場合は申請が必要とのことです。
初期登録費用
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
初期登録費用 | 60,000円 |
楽天市場への出店料としては、まずは「初期登録費用」が必要です。こちらは全プラン共通で60,000円です。
月額出店料(固定費)
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
月額出店料 | 25,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
支払い サイクル |
12ヶ月一括 | 6ヶ月一括×2回 | 6ヶ月一括×2回 |
次に月額出店料です。これは売上高に関係なく毎月固定の金額(固定費)となります。
なお「月額」と言っても、毎月1回支払う訳ではなく、プランによって6ヶ月〜12ヶ月の一括払いとなっています。
出店時に初期費用として必要な金額は?
まだ比較途中ではありますが、前述の「初期登録費用」と「月額出店料」の2つを合わせたものが初期費用=初回出店時に支払う金額になりますので、ここで一旦計算してみましょう。
がんばれ!プラン
- 初期登録費用:60,000円
- 月額出店料:300,000円(25,000円×12ヶ月分)
- 初期費用合計金額:306,000円
スタンダードプラン
- 初期登録費用:60,000円
- 月額出店料:390,000円(65,000円×6ヶ月分)
- 初期費用合計金額:450,000円
メガショッププラン
- 初期登録費用:60,000円
- 月額出店料:780,000円(130,000円×6ヶ月分)
- 初期費用合計金額:840,000円
以上が楽天市場の出店契約時に初回出店料として支払う金額です。各プランごとに最初にいくら位の資金を準備する必要があるかの目安になると思います。
なお、プランごとにかなりの金額差がありますが、単純に比較してはダメです。なぜなら月額出店料が含まれている期間がそれぞれ違うからです。「メガショッププラン」と「スタンダードプラン」は6ヶ月分、「がんばれ!プラン」は12ヶ月分の月額出店料を含んだ計算になります。
さて、ここから先は固定費ではなく「売上高に対して掛かる料金(変動費)」を中心に見ていきましょう。
システム利用料(販売手数料)
3つのプランを選択する際に、このシステム利用料の比較が一番難しいのではないでしょうか?
まずは比較表を見てみましょう。
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
システム利用料 パソコン経由 |
月間売上高の 3.5〜6.5% |
月間売上高の 2.0〜4.0% |
月間売上高の 2.0〜4.0% |
システム利用料 モバイル経由 |
月間売上高の 4.0〜7.0% |
月間売上高の 2.5〜4.5% |
月間売上高の 2.5〜4.5% |
「システム利用料」という名目で、各プランに応じて「月間売上高の◯%」という費用が発生します。これは他のネットショップ作成サービスで言うところの「売上課金」や「ロイヤリティ」や「販売手数料」と呼ばれる部分です。パーセンテージで決まっているため、売上が大きくなればなるほど支払う金額も大きくなります。逆に売上が低ければシステム利用料も低くなります。
また、上記比較表を見れば分かりますが、「メガショッププラン」や「スタンダードプラン」の方が売上に対するシステム利用料のパーセンテージは低くなっています。
「月額出店料(固定費)」だけを見れば「がんばれ!プラン」の方が安く見えますが、ショップの総売上が高くなればなるほど、「メガショッププラン」や「スタンダードプラン」の方がお得になる(費用が安くなる)設定なのです。
このため(公式サイトにも書かれていますが)月商約140万円を超えるのであれば「がんばれ!プラン」よりも「スタンダードプラン」の方がお得(費用が割安)になります。
なぜシステム利用料に幅(◯%〜◯%)があるの?
システム利用料は下記3つによって率が変動する仕組みになっています。
- PC経由の注文か、スマホ経由の注文か
- 注文1回の平均単価(平均バスケット単価)
- 月間売上高
つまり、同じ出店プランであっても、注文があったデバイス(PC or スマホ)や、月間売上高や、注文1回の平均単価によって、システム利用料(◯%)が変動し、必要な費用が変わるということです。
このシステム利用料の計算方法や具体的な数値は公式サイトの「サービス・料金詳細」のページに記載されているのでチェックしておきましょう。
楽天スーパーポイント
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
楽天スーパーポイント | 楽天会員が購入した代金の通常1.0% |
楽天スーパーポイントとは、ご存知の通り楽天市場で商品を購入した際に付与されるポイントのことです。このポイントは楽天市場が負担している訳ではなく、購入された店舗側が負担することになっています。
つまり、楽天会員があなたのお店で商品を購入した場合、楽天スーパーポイントの付与率(通常1.0%)分を支払う必要があります(全プラン共通)。
「月間売上高の約1%がポイント還元分として費用になる」というイメージですね。
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料 | 月間売上高の0.1% |
「モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料」と言われても何のことか分かりませんが、「楽天市場のシステム開発や環境整備などに利用される」とのことです。この費用として月間売上高の0.1%を支払う必要があります(全プラン共通)。
楽天スーパーアフィリエイト
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
楽天スーパーアフィリエイト | アフィリエイトを経由した売上の2%~ |
楽天市場ではアフィリエイトという仕組みを使って、たくさんのサイトに楽天市場の宣伝をしてもらっています。そのアフィリエイト(宣伝経由)で商品が売れた場合、アフィリエイト広告を掲載してくれたサイト運営者に成果報酬が支払われることになります。
店舗側はこの成果報酬(購入された商品のジャンルに応じて2.0%~4.0%)を支払う必要があります(全プラン共通)。
「アフィリエイト」という言葉を初めて聞いた方にとっては、たぶん意味が分からないと思うので、少しアフィリエイトについて説明しておきます。
アフィリエイトとは?
例えば・・・
あなたが楽天市場に出店してスマホケースの販売を始めたとします。そこで売っている商品を見たAさんが「このスマホケースかわいいから自分のブログで紹介しよう!」と、ブログにスマホケースの商品ページへのリンクを貼ってくれました。その後、Aさんのブログを見た人がそのリンクから商品ページに移動してスマホケースを買ってくれたとします。
この際、Aさんが楽天市場が用意している宣伝用のリンク(=アフィリエイト用のリンク)をブログに貼っていたのであれば、それは「アフィリエイト経由で売上が上がった」ということになります。Aさんには成果報酬(売上の○%)が支払われ、その成果報酬は店舗側が負担することになる、という仕組みです。
R-Messe利用料
がんばれ | スタンダード | メガショップ | |
---|---|---|---|
R-Messe利用料 | 月額3,000円 | 月額5,000円 |
「R-Messe利用料」とは、お客様と店舗間のお問い合わせやコミュニケーションに使われる機能の使用料になります。
お問い合わせとご注文のデータが連動されたり、RMS(管理画面)から簡単にお問い合わせに答えることが可能になるシステムです。
決済サービス利用料金
ここからはお客様が商品購入時に利用した決済方法ごとに、店舗側に発生する費用(決済サービス利用料金)の説明になります。クレジットカード決済を始め、便利な決済方法が用意されていますが、これらを利用する際にも費用が発生します。
楽天ペイ(楽天市場決済)利用料
昔はクレジットカード決済、ネットバンク決済、電子マネー決済、コンビニ決済…など、決済方法ごとに利用料が設定されていましたが、いまは全て「楽天ペイ(楽天市場決済)」に統一されました。これは楽天市場が決済処理業務を代行してくれるシステムです。
楽天ペイの利用料は「月間決済高」と「平均決済単価」がどれくらいかによって変わってきますが、決済価格の2.5%〜3.5%となります。
比較まとめ
長くなりましたが以上が楽天市場に出店する際に知っておきたい費用や料金の基本的な項目です。(この他にもオプションサービスなどがありますが・・)
出店プランごとに出店料などを比較してきましたが、いかがだったでしょうか?
「メガショッププラン」については「どうしても商品数が20,000点を超える」といった事情がない限り、最初は選択肢からは外しても大丈夫でしょう。商品数と画像容量以外の点では「スタンダードプラン」と変わらないので、月額が5万円安い「スタンダードプラン」の方がおすすめです。
最後に「がんばれ!プラン」と「スタンダードプラン」の比較です。この2つのプランの違いをもう一度比較表にしてみましょう。
がんばれ | スタンダード | |
---|---|---|
登録可能商品数 | 5,000 | 20,000 |
画像容量 | 500MB | 5GB |
月額出店料 | 25,000円 | 65,000円 | システム利用料 パソコン経由 |
月間売上高の 3.5〜6.5% |
月間売上高の 2.0〜4.0% |
システム利用料 モバイル経由 |
月間売上高の 4.0〜7.0% |
月間売上高の 2.5〜4.5% |
5,000商品も扱わないという方は月額出店料が安い「がんばれ!プラン」を選びがちですが、重要なのはシステム利用料の差が大きいことです。売上が上がれば上がるほど「スタンダードプラン」の費用の方が安くなるようになっています。
前にも申し上げましたが、公式サイトでも案内されている通り、月商約178万円を超えるのであれば「スタンダードプラン」が一番お得(費用が割安)になります。
つまり売上目標によって「がんばれ!プラン」と「スタンダードプラン」の比較結果は変わってきますので、まずは事業計画を練って、売上目標を設定することが大切です。
結論として楽天市場の出店料は高いの?
他のショッピングモールの出店料や、独自ショップを構築できるネットショップ作成サービスの費用と比べると高いと言えます。しかし、ブランド力、集客力、流通シェア、サポート…などを全て踏まえて考えた場合、一概に高いとは言えません。
私自身、仕事で楽天市場に新規出店したこともありますし、売上が年間1千万円弱の店舗から数億円以上ある店舗まで、複数の店舗運営を行っていました。その経験からすると、本気で数千万・数億円と売上や利益を伸ばしたいのであれば、楽天市場で出店することをおすすめします(出店料以上の価値はあると思います)。
またコロナ禍において、国や地方自治体の補助金や助成金の種類も増えましたので、タイミング的には出店のチャンスとも言えると思います。
しかし「小規模なネットショップを作りたい」「実店舗の隙間時間で少しでも売れればOK」「通販サイトに使える資金が少ない」という場合は、楽天市場以外のネットショップ作成サービス(下記参照)を利用して、低コスト・低リスクで簡単に始めるという手段もあります。
いずれにしても、まずは無料で簡単にできる資料請求(楽天市場公式)が第一歩となります。