カラミーショップやBASEといったネットショップ作成サービスが充実してきたことで、個人や初心者でも簡単にネットショップを開業できるようになりました。通販サイトの構築やデザインだけでなく、決済システムや会員登録機能まで、ネットショップの立ち上げに必要な機能が全てセットで提供されるWebサービスも増えています。
このように初心者がゼロからネットショップを開設できる環境が整ったことは大変喜ばしいことです。しかし簡単になったとはいえ、まずは開業までに必要な流れや手順をしっかりと把握し、順番に計画を進めて行きましょう。
ネットショップで販売したい商品を考える
まずは何と言ってもネットショップで販売する商品を決めることが大切です。どんな商品を扱うかによって集客方法や販売戦略も変わってきます。そのため商品選びはネットショップ開業が成功するか失敗するかの大きなポイントにもなります。とは言っても、ネット上では実際に様々な商品が売られているので、どのような商品でもあってもそれに合わせた販売戦略を立てることできっと売れるはずです。
この記事を読んでいる人の中には、既に販売したい商品が決まっている人も多いでしょう。また実店舗の売上げを拡大するためにネットショップを開設したい人もいると思います。その場合でも、もう一度販売する商品について考えてみましょう。
商品によって販売資格や許可が必要かを調べる
商品によっては販売するにあたり免許・許可証が必要であったり、申請・届け出などの手続きが必要なものがあります。通販サイトで販売したい商品が決まったら、次はその商品の販売に資格や許可が必要かどうかを調べましょう。
いくつかご紹介すると、例えば「中古品」の販売には「古物商許可証」が必要です。古物商というと質屋やリサイクルショップのイメージがありますが、個人でも利益目的で継続的に中古品を販売したり、転売目的で仕入れたものを売買する場合には許可証が必要です。古物商許可証の窓口は「警察署」になりますので、中古品を扱いたい場合は近隣の警察署に問い合わせて詳しい申請方法を教えてもらいましょう。
また「特定の食品」の販売にも免許や許可が必要です。「特定」と書いたのは食品の分類によって必要なものと不要なものがあるからです。いずれにしても食品関係の販売を考えている場合には、窓口である近隣の「保健所」に相談して、必要な免許や許可について調べておきましょう。
このように、ネットショップであっても実店舗と同じように販売する商品によっては資格・免許・許可などの申請手続きが必要になるので、必ず事前に確認してください。初心者の場合ですと「ややこしい〜」と思うかもしれませんが、窓口(保健所や警察署)に問い合わせれば親切に教えてくれますので安心してください。少しでも分からないことがあれば、とにかく何でも聞いてみましょう。
仕入先・卸問屋を調査する
仕入れが必要な商品を販売するのであれば、ネットショップ開業前に仕入先・卸問屋を調査しておくことも重要です。具体的に確認しておくべきことは、
- 個人でも仕入れが可能かどうか
- 仕入れ価格
- ロット数(仕入れの最小単位)
- 送料
- 発注から到着までの日数
などです。個人であっても個人事業主(自営業者)でないと契約できない卸問屋もあるので注意してください。またロット数が大きいと仕入れに掛かる開業資金が多く必要となり、更にたくさんの在庫を抱えてしまうので、低ロットで発注できるかどうかも大きなポイントです。
また、手作りのアクセサリーなどを販売する場合は「仕入れ=製作作業」と考えます。例えば1日1個しか作れない作品であれば「1ヶ月で仕入れられるのは最大30個まで」と置き換えてみましょう。これにより売上や利益をもっと伸ばしたくても仕入れ(製作作業)が追いつかないという状況も想定できると思います。
ネットショップ開業・出店方法を比較する
さて、商品が決まったらこれから実際にネットショップを開業・出店するための流れ入っていきます。ネットショップを構築するには、大きく分けて下記4つの作り方(始め方)があります。もちろん1つだけでなく複数を併用することも可能です。
1.ショッピングモールに出店する
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールに出店するのが1つ目の方法です。ショッピングモールに出店するメリットは、何と言ってもその集客力です。独自で作成した通販サイトと比較すると、既に知名度があり最初からお客さんが居るショッピングモールの集客力は非常に頼りになります。
なお、楽天市場で資料請求すると無料のガイドブックが貰えます。ネットショップ開業のためのノウハウや成功事例が載っているので、ぜひ入手して読んでみてください。
2.ネットショップ作成サービスを利用する
ショッピングモールへの出店とは対象的に、独自のネットショップを作ることができるサービスが増えています。カラミーショップやBASEなどは初心者でも簡単に通販サイトを立ち上げることができるサービスとして人気があります。
ネットショップ作成サービスを利用するメリットは、デザインの自由度やカスタマイズ性だけでなく、初期費用・月額固定費・インセンティブ(売上に対する手数料)などがショッピングモール出店に比べて安い傾向にあることです。また開設手続きも簡単なので、初心者や個人・個人事業主が開業するには最もおすすめの方法です。
3.ショッピングカートシステム(買い物かご型)で独自ショップを構築する
ショッピングカートシステム(買い物かご型)とは、ネットショップ機能が無いホームページやWordPressなどに簡単にカート機能(注文ボタンや決済システムなど)を導入することができるサービスです。既にホームページを持っていて、そこにネットショップの機能を埋め込みたいという場合には簡単な始め方になります。
ショッピングカートのレンタルシステムとして人気があるのはSHOP-Makerという老舗サービスです。単なる決済システムだけでなく、顧客管理・在庫管理・ポイント割引など、買い物かご以外の機能も充実しています。
逆にデメリットとしては、あまり入門者向けではなく、これからネットショップを構築したいという初心者であれば、前述の「ネットショップ作成サービス」や「ショッピングモールへの出店」をおすすめします。
4.ハンドメイドマーケットやフリマを利用する
4つ目の方法としては、ハンドメイドマーケットやフリマを利用して商品を販売することです。
販売したい商品が雑貨やアクセサリーなどのハンドメイド商品(手作り作品)の場合、わざわざネットショップを作成しなくてもminne(ミンネ)やココナラハンドメイドといったハンドメイド専門のマーケットがあります。ハンドメイドマーケットに出品するメリットとしては、既にたくさんのハンドメイド好きが集まっている市場がある(集客力がある)ということです。ゼロからから通販サイトを立ち上げる必要がなく、すぐに販売を開始できるのもメリットの1つです。
また、スマホではメルカリなどのフリマアプリも大きな市場規模を形成しています。そのため、どれか1つの方法だけでなく、複数の販売方法を合わせて検討することが重要になっています。
※ここからの手順は必ずしも順番通りでなくても大丈夫です。作業を進めやすい項目から手を付けていきましょう。
ショップ名を決める
どの方法でネットショップを開業するかが決まったら、次はショップ名を決めましょう。特にこだわりがなければ、SEO対策(検索エンジン対策)の観点から「検索でヒットして欲しいキーワードを含んだショップ名」にすることをおすすめします。例えばネックレスを売りたいのであれば「ネックレス専門店 ◯◯◯」のようなイメージです。
また、独自ドメインを使ってサイトを運営したい場合は、ショップ名を決めた後に独自ドメインを取得しておきましょう。独自ドメインについては下記の記事で詳しく紹介しています。
決済方法を決める
次にどのような決済方法を用意するかを決めます。お客様の立場からすると、決済方法の種類はできるだけ多い方が良いでしょう。選択肢が多いほど顧客満足度が高くなる傾向にあります。また自分が使いたい決済方法が無い場合、そのお店では買わずに別のお店を探すというお客様も多いので、見込み客や売上げを逃さないためにも決済方法を増やすことは重要です。
主な決済方法としては、
- 銀行振込
- 郵便振替
- 代金引換
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
などです。これらの決済方法は、ショッピングモールやネットショップ作成サービス側で用意されている場合がありますので、それぞれのサイトのマニュアル(ヘルプ)を確認してみましょう。
発送方法や送料を考える
どのような発送方法を用意するかは、扱う商品によって変わってきます。例えばサイズが大きめの商品を販売するのであれば、ヤマト運輸(宅急便・ヤマト便)・佐川急便(飛脚宅配便)・郵便局(ゆうパック)などがメインになります。逆にサイズの小さな商品を販売するのであれば、上記以外にもメール便・レターパック・定形外郵便などが視野に入ってきます。
なお「商品が届かない」「届いたら壊れていた」というクレームやトラブルで困らないためにも各発送方法の「保証」についてもきちんと確認しておきましょう。例えば宅急便であれば30万円までの補償が付いていますが、定形外郵便に保証はありません。
このように商品の大きさや価格を踏まえて、発送方法や送料を決めていきます。なお、送料を実際に掛かる金額よりも多く取るのは避けた方が無難でしょう。ネットで検索すれば送料はすぐに分かりますので、お客様によっては不信感を持つ方もおられます。
また、同時に梱包方法についても考えましょう。梱包の一番の目的は「商品が壊れないように守ること」です。いい加減な梱包で送ると「届いたら壊れていた」といったトラブルに繋がりやすくなります。更にお客様にとって商品が届いた瞬間というのはとても嬉しいものです。そのドキドキ感を更に高めるためにもラッピングを工夫することでお店のファン(リピーター)を増やすこともできます。
サイトをデザインする
ネットショップ作成サービスを利用する場合、たくさんのデザインテンプレートが用意されているので、テンプレートを選ぶだけで簡単にキレイなデザインのサイトが完成します。更に独自にカスタマイズできるサービスが多いので、他店との差別化やイメージアップのためにも、自分のできる範囲でカスタマイズを行っていきましょう。
ちなみに「カッコイイから」「オシャレだから」という理由でデザインを選ぶのはおすすめできません。もちろん扱う商品によってはそのような要素も重要ですが、実際にサイトを使うのはお客様なので、あくまでお客様目線でのデザインが重要です。例えば「一見しただけで通販サイトかどうか分からない」「送料が分かりにくい場所にしか書いてない」というようなデザインは売上にも影響してきます。
商品を登録する
続いてショップ内に商品を登録していきます。商品登録において特に重要なポイントは「写真」「商品名」「商品説明」の3つです。
写真
ネット通販では、売上が何倍も変わる可能性があるくらい写真は大切なものです。できれば一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラで撮影したい所ですが、最近はスマホのカメラでも十分高性能だと言えます。写真の良し悪しはカメラの良さよりも「光」で決まることが多く、部屋に入る光を上手く利用すればスマホでもキレイな写真を撮ることができます。撮影する時間帯や太陽光の入り方などに注意して、良い写真が撮れるまで何度もチャレンジしてみましょう。
商品名
商品名はネットショップ内で単にその商品を識別するだけではなく、SEO対策(検索エンジン対策)などにも影響する場合があります。ネットショップの仕組みによっては、商品名がそのまま商品ページのタイトルにも使われますので、検索エンジンを意識した商品名を付けましょう。(ただし検索エンジンを意識し過ぎてキーワードばかりを含めると、お客様に分かりづらくなるので程々に)
商品説明
「売上が上がらない」「アクセスが少ない」というネットショップほど、この商品説明を軽視している場合があります。お客様は「商品の写真と商品説明」だけでその商品についての情報を判断しなければなりません。そのためできるだけ詳細な商品情報を載せることで、お客様の不明点を解消できたり、購買意欲をそそることができます。
特定商取引法に基づく表記を行う
特定商取引法というのは訪問販売や通信販売などにおいて消費者を守るための法律です。法律の詳細は「特定商取引法ガイドの通信販売のページ」をご覧下さい。
法律なので難しい内容になっていますが、11条で規定されているように「支払方法」や「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」などをネットショップ上に表記しておく義務があります。ちょっとややこしいと思うかもしれませんが、ほとんどのネットショップ作成サービスでは管理画面から各項目を埋める(入力する)だけで自動的に「特定商取引法に基づく表記」のページが作成されます。
開店=集客・広告宣伝をスタート
さて「初心者がネットショップを開業するまでの流れ・手順」として必要な作業一覧を見てきましたがいかがだったでしょうか?ちょっと長くなってしまいましたが、あとは開店(オープン)させるだけです!
ここからはWeb上で集客したり、広告宣伝によってお客様を集める=売上を上げることが大切な作業となります。集客方法のアイデアやネットショップの運営・経営方法については、また別で記事を書きますのでぜひ読んでみてください。